患者さんのおススメで、今度映画も公開される

冲方丁の『天地明察』

を読了しました。

主人公である渋川春海、碁打ちにして算術マニアである
彼が、徳川幕府の命運を握る改歴事業にどう関わっていくか、
というのが大筋。

おそらく私が読んだことのある時代小説の主人公の中では、
もっとも頼りなさげで、もっともケンカに弱く、
そしておそらくもっともオタク気質です。
この本、とにかくそんな主人公が魅力的に描かれているのですが、
主人公にべったりの目線ではなく、ほどよく突き放しているような
絶妙な距離感で「でも、面白い奴だよね?」と問いかけてくるよう。

こいつが物事をどう考えて、どう思って、どう動くんだろう、
という想いが湧き、スルスル気持ちよく読めます。
ひとの才能に嫉妬したり、恋したり、
やる気なくしてみたり、大喜びしたり、
死にたくなったりしたあげくに、20120510G157さて、
どうなるか。

彼の本職は幕府碁方。
碁打ちとして幕府に仕えているわけです。

城内での立ち居振る舞いにさえ気を付けて
おけば
食いっぱぐれもない身分ですが、
自らの趣味を突き詰めた結果、本来の
仕事とは異なる大役を任されるという
展開には、働き方とか、仕事のありように
ついても考えさせられます。

追伸
水戸光圀がとっても怖いです。