遠方にお住まいで、2020年4月現在の緊急事態宣言下では、移動も困難とのことで、スマートフォンやパソコンで使用可能なビデオ通話機能を用いて、動きや姿勢をみながら体操による調整を行った症例です。

ビデオ通話越しに体操していただいている様子

○患者さん

 県外在住の女性。

 育児中、ハーバリウム作家

○主訴

 肋間神経痛

○副訴

 呼吸の際に痛み、背骨・骨盤の歪み、だるさ

○実際の治療

 0.テレビ電話で接続

 1.治療時点での主訴の確認。

 2.映像を通して、姿勢と動きをチェック

 3.肋間に痛みのある側の筋肉に明確に拘縮が見てとれたので、施術者の指示で体操をしてもらい(VIM体操)、動かしやすくなったかどうかをチェック。

  ※腹斜筋~前鋸筋~肩部への緊張の連鎖を緩和

 4.腰背部全体がほかの部位に比べて動かない様子だったので、別の形の体操をしてもらう(VIM体操)。背中全体がリラックスし、呼吸が深くなる。

  ※広背筋~肩部への緊張の連鎖を緩和

 5.見た目にも患者さんの自覚でも、重心に明確な偏りがあったため、重心がまんべんなく散るように誘導(重心調整法)。リラックスと呼吸がより深くなり、首の緊張が減る。

  ※抗重力筋全体の緊張を緩和

 6.細かい作業が多いお仕事なので、目をコントロールする筋肉が首をかなり緊張させていると推測。眼球運動によって首をリラックス(機能神経学的アプローチ)。呼吸がさらに改善。

  ※後頭下筋群の緊張を緩和

 7.姿勢、動作の変化をあらためて確認。主訴もその場で軽減を確認。

術前の正面像。

両肩がすぼまって前に巻いています。特に画像右側、肩~胸あたりの服の皺の付き方が気になりました。

術後の正面像。

力みなく、自然にほどよく背筋が伸びました。チェック柄のおかげで、正面からでも姿勢の変化が見てとれます(実際は、動いてもらいながら左右や後ろからも確認しました)。

○施術者の所見

 育児もハーバリウム制作も、いずれも身体の前側低い位置での作業が多く、しかも身体の特定部位に長時間負担のかかる姿勢が続きやすいことから、まずはその姿勢から生まれる緊張を緩和することが先決と考えました。

 幸い、肋間神経痛が感染症由来ではなく筋・筋膜系の緊張由来のものだったので、筋-神経を促通させて緊張の偏りを減らすだけでも、それなりの即効性があったようです。

○本人からのご感想

以下に、ご本人から送っていただいた感想をご紹介いたします。

 【施術前の状態(2~3日前)】

 
・コロナウイルスによる精神的苦痛の為か、持病である肋間神経痛が再発。ロキソニン服用が不可能なため、イブプロフェンを服用しても効果なし。肋間神経痛に効くというストレッチ等も全く効果がなく、寝るのも苦しい状態でした。

・また、仕事柄姿勢が前傾になりやすい為か、骨盤の歪み・背骨の歪みなども感じていた。屋内での運動もほぼ効果なしでした。

【施術直後の状態】

 
・まずは肋間神経痛が治りました。また、肋間神経痛の為、深呼吸ができない状態(息を深く吸うと激痛)が改善し、久方振りに大きく息が吸えるようになった。

 
・また、首の解れも取れ、体全体がとてもリラックスしているように感じました。

 
・体が軽くなり、不安が少し無くなった気もしました。

【施術1日後】

 
・起床後、少し肋間神経痛を感じましたが、教わったストレッチによりすぐに改善しました。

 
・また、この日は不幸なことに持病である便秘が悪化しており、腹部に痛みを感じておりましたが、昨日教わったストレッチを数回繰り返すことで腹部の緊張が取れ、痛みが無くなりました。

 
・首回りについては、すっきりした状態がそのままキープされています。むしろ、昨日より姿勢が良くなったように感じます。