正しい姿勢はどんなものなのか、という質問をよく患者さんに受けます。

 より正しい姿勢を目指すことは、確かに大切です。
 古武術での稽古で、姿勢を少し変えるだけで出せる力や技のかかり方がまるで変わったりすることも経験しましたので、より正しい姿勢というものがより身体をうまく使うために不可欠なのは間違いありません。
 では、正しい姿勢を目指すために何をすべきでしょうか?

 正しい姿勢を作るためのコツは、それこそ無数に存在します。
 曰く、骨盤を立てろ。頭が空から吊るされているように。背骨をS字にしろ。頭が前へ、上へ行くように。色々です。

 現代は健康に関する情報があふれかえっているので、患者さんご自身もそうしたコツのいくつかをふだんから実践しようとしていることがほとんどですが、それでも上手くいかなくて、治療院でその素朴な疑問を治療家にぶつけることになるのです。

 そこに潜んでいるのは、二つの誤解でした。

1.正しい姿勢でいれば、痛みは出てこない

2.筋肉をしっかり使って正しい姿勢を保持しなければならない

 ……という誤解です。
 ひとつめの「 正しい姿勢でいれば、痛みは出てこない 」ですが、残念ながら、どんなに正しい姿勢でいようとも、同じ姿勢でいる限り、いずれ痛みは出てきます。人の筋肉にとっては同じ姿勢を保持し続けるのは重労働なので、どうしても痛みが出てくるのです。

 ふたつめの「 筋肉をしっかり使って正しい姿勢を保持しなければならない 」も同様です。筋肉の力に頼って姿勢を保持するのは、いずれその筋肉が疲労してくると無理を重ねることにつながります。

 したがって、痛くないように身体を使うための戦略は、

1.落ち着きのない人になること

2.リラックスを最優先にすること

 ……という二本柱になります。
 解説するとたいへん長くなりますので、今日はこのあたりで。