あなたは、自分は、世の中の平均よりは
優しい人だと思いますか?

最近、テレビの放送大学で『錯覚の科学』という
番組を観るのが楽しみで仕方ないのです。

……って、もう今週、最終回なんですが。

私にとっては、「キラーコンテンツ」と
言ってもいいので、終わってしまうのは実に
名残惜しいです。

先週放送された第14回のテーマは、
「自己の錯覚」。

自分自身に対するイメージ、自己評価に
関わる錯覚です。心の健康とも深くかかわる
テーマです。

面白いテーマなので、ちょっと一部ご紹介します。

ちょっと考えてみてほしいのですが、

「ちゃんとした大人とはどんな人か」

という話になったとします。

そこで、

「精神が成熟・安定し、現実をシッカリ認識
していることこそがちゃんとした大人の証だ」

と言われたら、まあ大抵の人は納得すると
思います。

ですが、心理学的な研究結果は、そんなイメージに
疑問を投げかけます。えいやっ。

……そこで、一旦話は変わり、冒頭の質問です。

あなたは、世の中の平均よりも自分は何かの点に
おいて優れているはず、と考えているはずです。

例えば、スタイルや容姿、ファッションセンスにおいて。
例えば、知識や実務能力において。
例えば、優しさや誠実さにおいて。

ですが、それって、本当でしょうかね?

統計心理学は、こういうデリケートな問題に
切り込み、身も蓋もない結果をあぶり出します。

「たいていの人は自分を実際よりも良い方に
評価している」

……と。

これを「ポジティブ幻想(イリュージョン)」
と言います。

でも、それが悪い、という単純な話では
ありません。

精神的に健康な人ほど、ポジティブ幻想を
持っている傾向が強いそうなのです。

逆に抑うつ傾向のある人だと、ポジティブ幻想は減り、
シビアに現実を認識していることが多い、ということが
実験から明らかになっているからです。

とすると、精神の安定と現実の認識を両立するような
「ちゃんとした大人」であることは、けっこう
案外難しいことがわかります。

現実をシッカリ見る、ってのは、存外に大変
なのですね。

ちなみに、欧米だとポジティブ幻想は
容姿やスタイルなどに多いのに対し、
日本人では優しさや誠実さ、真面目さと
いった、より人格的・内面的な部分に
向かうのだそうです。

このあたりも文化の違いってやつが出ていて
面白いですねぇ。

こんな内容をブログで書いてしまうワタシって
良い奴だなぁ、と思いつつ、筆を置きたいと
思います。

放送大学なので、来年度以降に再放送はあるかも
しれませんが、とにかく内容が気になる、という方は、
こちらからテキストを買うのも手です。